OBD検査がスタートしてから3回目となるOBD検査モニタリング会合が6月25日(水)に開催され、5月末日までのOBD検査の運用状況が開示された。同会合はOBD検査の運用状況をモニタリングし、チェックを行うための会合である。これによると、OBD検査の開始から5月末までの8カ月間の実績は表1の通りとなっている。会合の第2回目までの実績では、検査員がOBD検査に対して、作業に不慣れである可能性を加味する評価が必要だった。例えば通信不成立やレディネスコードがたっていないという状況などである。今回公表された実績は3月の車検繁忙期を踏まえた数値であり、計計 ある程度のOBD検査業務に習熟してきた上での結果が反映されたと捉えていい。つまり、OBD検査の傾向値としてサンプリングできたと考えられる。そのうちの際たる値が持ち込み検査である。持ち込み検査は登録車と軽自動車で不適合率に大幅な乖離があった。OBD検査開始からの約2カ月間の実施状況で、自動車技術総合機構での不適合あり率は13・5%、一方の軽自動車検査協会は4.0%だった。数値は回を重ねるごとに減ってはいるものの、5月末時点で自動車技術総合機構が12・2%。軽自動車検査協会は2.7%で推移している。国土交通省では、「登録車は軽自動車よりもADASセンサーが多く搭載されているため登録車の方に不適合あり率が高く出る」と推測する。確かにその通りなのだが、初回車検にしてはあまりにも不適合あり率が高く、何らかの不慣れな要因がそこに潜んでいると疑う向きもあった。ところが、スタートから半年以上経過した実績においても1割以上の登録車に不適合が検出されているのはもはやイレギュラーではなく、日常的な値として捉えられ得ると判断できよう。こうした状況に対して、認証工場はどのように対応すべきか。認証工場についても検査用スキャンツールを用いて、「OBD確認」を行ってから検査に臨むべきであろう。汎用スキャンツールでもDTCは見られなくもないが、チェックできないシステムもあり、DTCがコンプリートできる保証はない。また、「OBD確認」を行った場合、検査料金をお客様に求めることもできるだろう。いよいよこの10月からは輸入車のOBD検査がスタートする。それに伴い、車載通信はイーサネットの時代が到来する。輸入車の初回車検はほぼ100%、輸入車ディーラーの独壇場になるため、すぐにイーサネット対応の検査用スキャンツールを購入する必要はないが、情報のアンテナを伸ばし、準備しておく必要はある。なお、10月からイーサネット対応が始まるのはメルセデスだけではない。三菱ふそうのスーパーグレートも車載通信にイーサネットを使用しており初回車検からの対応が必要だ。スーパーグレートは10月20日(月)より検査が開始される。今回のOBD検査モニタリング会合ではOBD検査の対象装置の拡充も公表された。新たに拡充となるのは、「車線逸脱警報装置」、「側方衝突警報装置」、「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の3装置。輸入車のOBD検査がスタート 幕開けイーサネットの開始から8ヶ月実績傾向が固定化登録車の持ち込み検査不適合あり率12・2%!登録車の認証工場はどう対応すべきか第3回OBD検査モニタリング会合開催検査台数 検査実施主体不適合なし 不適合あり指定自動車整備工場152,412145,0959,8708,666軽自動車検査協会21,78321,196184,065174,957(独)自動車技術総合機構出典:OBD 検査モニタリング会合不適合あり率(%)7,3174.8 1,20412.2 5872.7 9,1084.9 表1. OBD検査実績(2024年10月1日~2025年5月31日 20Featured articles|OBD 検査モニタリング合会1/8台がOBD検査不適合
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