■ 防止ではなく発生後の体制整備が必要■ 整備作業のほとんどに対策が必要 関東以外ではまとまった雨が続いたところも多かったが、今年の関東の太平洋側は、梅雨があったのか疑わしいような真夏の暑さが続く日が多かった。そんな 6 月に、職場の熱中症対策が義務化されたことをご存知だろうか? 正確には、労働安全衛生規則が 6 月 1 日に改正、熱中症対策が強化されて、新たに罰則付きですべての企業の義務となる内容が追加されている。すべての企業の義務となるため、当然、自動車整備業界も対象であるし、義務化の対象となる作業や現場も整備業界では多そうである。 今回は 6 に熱中症対策が義務化されたことで、整備業界にどのような影響が出るのかを解説する。 整備業界への影響の前にまず、今回の熱中症対策義務化がどのようなものか見ていこう。実は今回、義務化されるのは熱中症防止の対策ではない。熱中の症状の人が出た際の報告体制の整備と周知、また、熱中症の悪化防止の措置について手順策定と周知、この 2 つが企業の義務となった。これらの対策を怠ると、作業や建物の使用の停止命令や、6 カ月以下の拘禁刑または 50 万円以下の罰金が企業に課せられる可能性がある。 水分摂取や涼しくするといった熱中症防止対策が義務化されたのではないことを不思議に感じ る 人 も い る か も し れ ない。しかし実は、「冷房、シニアの採用・転職のご相談は暖房、通風等適当な温湿度調節の措置」や「塩及び飲料水」の備えといった予防対策は、だいぶ前から企業の義務だった。もし、予防対策ができていないという会社は今回を機に、従業員が「塩及び飲料水」を摂れる備えを整えておきたい。 今回、企業が整備しなくてはいけないものは、熱中症になったり熱中症のような社員が出たりした際の連絡先と、その後の対応方法、そしてその周知なのだが、そもそも整備業界の小規模の事業所では、今回こうした義務化がされたことを知らないところも多そうだ。知らずに何の対策もしないまま、社員が熱中症になると、先に挙げた罰則が課せられる可能性が出る。体制整備自体には大きな投資など必要ないため、社労士などに相談して整えておきたい。 整備を行うピットは、屋根があるものの作業時には扉・シャッターを開放して外気に晒される環境がほとんどだ。当然、夏場の気温は高く、今回、熱中症対策義務の対象となる「WBGT(湿球黒球温度)28 度以上又は気温 31 度以上の環境下で連続 1 時間以上又は 1 日 4 時間を超えて実施」が見込まれる作業に該当する可能性が高い。 小規模の整備工場などでは指示系統が明確だが、トップ不在の場合、誰に熱中症発生の報告を行うか不明になりやすい。多数がシフトで動く大手店舗では、報告の系統の明確化と全員への周知徹底が課題になるだろう。とにかく、どんな場面でも確実に SOS が届く体制を整えておきたい。Serial articles 2250 歳以上の働きたいを叶える50 歳以上の働きたいを叶えるhttps://seniorjob.jp/1991 年茨城県生まれ。シニアに特化した人材紹介、人材派遣を提供する株式会社シニアジョブを 2014 年設立。サッカーに打ち込み、J1 ユースチームでの活躍から一転、学生起業家に。専門紙を中心にシニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中。中島 康恵 株式会社シニアジョブ 代表取締役整備業界のシニア採用・シニア転職6 月から熱中症対策義務化!6 月から熱中症対策義務化!整備業務の多くが対象?整備業務の多くが対象?
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